Jimanica「コラボレーションする事」

第2回目は、Rhythm Circus Vol. 01にご出演いただくアーティストのJimanicaさん(d.v.d)にインタビューしました。
アーティストとのコラボレーションについて、ドラムについて、リズムについて。さまざまな視点からJimanicaさんの『音楽』について話していただきました。

インタビューアー 吉田みさと (2010/03/22掲載)


【やくしまるえつことd.v.d】

はじめに、私(吉田みさと)本当にJimanicaさんの音が大好きなので、好きな想いのあまりに色々発言が暴走するかもしれませんが、よろしくお願いします。

Jimanica  (笑)よろしくお願いします。

まず、最近の活動についてお聞かせください。d.v.dでは4月7日にやくしまるえつこさん(相対性理論、TUTU HELVETICA、ほか)と新ユニットを結成されますね。(※1)

Jimanica うん、やくしまるさんは前からd.v.dの活動を気に入ってくれていたらしくて、相対性理論の方から何度かイベント共演のオファーは頂いてたんだけど、なかなかスケジュールがあわなくてね。一方で、そろそろ僕らd.v.dとしてもアルバムを出したいねという話は兼ねてからしていて、ボーカルを入れてみたら面白いかもっていうアイデアも浮かんだことから、こうして一緒にアルバムを作ることになったんだ。

d.v.dとやくしまるえつこさんっていう組み合わせが、正直少し意外でした。本来の音の雰囲気が全く違う気がしたので、逆にどんな音が出来上がるのかすごく楽しみです。

Jimanica もともと彼女もd.v.dもある種共通のポップ性っていうところがあるね。今回のアルバムもすごくポップな音に仕上がってるよ。

公式webに載っている写真も素敵ですよね。

Jimanica あれはPVのためのセットで、真鍋大度さん(※2)がシステム制作に携わってくれたんだ。ドラムの音と柱の光が同期する仕掛けになっているんだよね。

うわあ、すごく楽しみです…真鍋さんが関わっていて、しかも音と光!!気になって眠れない日々が続きそう…。

Jimanica それは大げさ (笑)

【コラボレーションのバランス】

d.v.dとしてだけではなくて、Jimanicaさん自身も多くの方とコラボレーションしていらっしゃいますよね。わたしはJimanicaさんのAmetsubさんとのコラボCDが大好きなんです。(※3)

Jimanica 有り難うございます。

Ametsubさんももともと大好きなアーティストさんですが、あのCDはお二人それぞれの魅力が引き立っていながらひとつの綺麗な世界が出来上がっていて、本当に素敵だなと思いました。お互いが相手の音を大事にしていらっしゃるからかなあ、と思って聴いていたんですけど…。

Jimanica やっぱり相手ありきのコラボレーションだから、僕は相手とのアンサンブルということを重きに考えてコラボレーションするのね。その結果それが伝わっているなら嬉しいな。コラボレーションってお互いのバランスだよね。自分の持っている引き出しの中身を全部出して勝負するんじゃなくて、まず『コラボレーションを通じて何を伝えたいのか』っていう目標点があって、そこにいくためのものだけを使う感じ。やみくもに相手と対峙するんじゃない。だから相手のことはすごく感じるし、そこにバランスが生じてくるんだと思うね。

なるほど。コラボレーションする際には、はじめにコンセプトを打ち合わせるんですか?

Jimanica そうだね。特にJimanica×Ametsubの時にはお互いの世界観はわかっているから、そこから話を進めていく感じだった。アイディアをとりあえず並べて、そこから音が膨らみそうなものを選んでいく感じかな。だから、お互いが自分の世界観を表現した作品がまずあることが、コラボレーションする時には助けになるね。それがないと、どちらかがそもそものアイディアを提示してからスタートしなくちゃいけないから。

【最小限の表現で最大限の効果を】

Jimanicaさんの作る音ってすごく『整然としている』、『綺麗』、『無駄がない』気がするんです。

Jimanica 最小限の表現で最大限の効果を出したいとはいつも考えているよ。音楽に限らず、最小限の表現で最大限の効果を出すという考えは、『デザインする』ということに割と近いかなと。

それってすごく重要なことかもしれませんね。今、音楽には音以外の要素がたくさん付随している気がします。

Jimanica そういう意味では「音楽」自体にPVというものはいらないものだよね。音を映像化するというところを突き詰めて行くと、演奏者が演奏している映像っていうのはその音のイメージを現していることではない思う。映像と音を組み合わせて、その映像にメッセージ性やストーリー性を込めるアーティストもいるけど、d.v.dで使う映像はシンプルな図形やシルエット。単純に音と映像が同期して楽しいというところをまず伝えたいからね。

Jimanicaさんは、音楽を通じてメッセージを伝えたい、ということはあまり考えないんですか?

Jimanica なるべく聴いた人に考えさせる余地を残すようにしているね。だから、例えば僕の前作は「虫」というコンセプト(※4)で、「カブトムシ」の曲があったりして、あれはまさしくそう。僕は「これがカブトムシなんですけどー」って提示するだけで、あとは聴いた人が「これカブトムシなのかなあ?」って各々考えればいい。そこがコミュニケーションだと思う。だから、蠅を表現した曲に蠅が飛ぶ音を入れてしまうのとはまた違うと思うんだ。余地を作るためにただ音数を減らせばいいっていうことではないけれど、解釈は聴く人の自由だと思うよ。

【個性ある音を奏でる】

Jimanicaさんのドラムの音がすごく好きなんです。どんな方とコラボしていても、Jimanicaさんっぽさというか、魅力がたちのぼってくる感じがします。

Jimanica 自分ではあまりに自分すぎてわかんない(笑) 。なるべく自分の音を客観的に聴くようにはしているんだけどね。若い頃はそういうのってスタジオミュージシャンだとしたらどうなんだって思うこともあったけど、最近は、他の人の声を聴いて「俺って個性あるんだな」って思えるようになってきたかな…。むしろ個性がないとね。

そうです!その個性こそがJimanicaさんの魅力だと思います!なんというか、すごく丁寧でストイックなんだけど、自由な音というか…そんな魅力を感じています。

Jimanica ほんとに通だね〜、そう感じてもらえると嬉しいね。ドラムを『叩く』っていう言い方をすること自体にも実は抵抗があって、『奏でる』という言い方の方が近い気がする。叩くっていう行為は乱暴にもできるから、そこは常に意識しているよ。

最後に、Jimanicaさんにとっての『リズム』についてのお考えを教えていただけますか?

Jimanica んー…。答えになっているかわからないけど、僕がとらえているリズムは皆さんの『リズム』ときっと同じで、難しいものでも何もないと思っている。リズムっていうもの自体に自分自身が贔屓をしているってことはないですね。あくまで音楽を構成する一部であるっていう位置づけだね。もしもJimanicaらしいリズムというものを意識して聴いて下さっている人が感じているなら、それは聴いて下さる人が特別な意味をこめてくれているのであって、僕は「これが僕のリズムだ!」っていうものは特に持っていないよ。リズムは音あくまで自分がやりたい音楽の一要素っていうスタンスですかね。

ありがとうございました。憧れていた方に直接インタビューできて、本当に嬉しいです!こうしてリズムサーカスを通じていろんな経験をしていきたいし、自分の夢を叶えていきたいなって今日改めて思いました。

Jimanica がんばってください。


相手の音を活かしながら、自分の音を奏でる。リズムサーカスでも多くの方がコラボレーションして、それぞれが素敵な魅力を引き出していけるような場を作りたいと感じました。 Jimanicaさん、本当にありがとうございました。


■■注釈■■

※1 やくしまるえつこ(相対性理論、TUTU HELVETICA、ほか)とd.v.dによる新ユニット「やくしまるえつこ と d.v.d」名義で、2010年4月7日に8曲+3曲映像入り2枚組アルバム『Blu-Day』が発売されます。
URL http://www.dvd-3.com/

※2 真鍋大度(音響・プログラミング) 1976年東京生まれ。東京理科大学理学部数学科卒業。国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)DSPコース卒業。
アーティストとして振動、超低周波を使用して触覚と聴覚の特殊性、共通性、相互作用を狙った作品制作を行う一方で、実験的なターンテーブリストとしても活動中。また、プログラマー、音響として国内外の様々なアートプロジェクト、企業との研究開発プロジェクトに参加。
URL http://www.daito.ws/

※3 Surge(Jimanica×Ametsub) 2007年発売のアルバム。
Jimanicaの生ドラムとAmetsubのクリック音や切り離された音の断片が見事に調和した1枚。音で作られた美しい1枚のコラージュです。
URL http://www.myspace.com/jimatsub

※4 Entomophonic(Jimanica)2005年発売のJimanicaソロアルバム。
昆虫をテーマに集められた音のイメージは、リズムと電子音によってクールにわたしたちの脳裏に焼き付きます。
URL http://www.jimanica.com/

インタビューアー 吉田みさと(よしだ みさと)

平成元年子供の日生誕。北海道出身。東京藝術大学音楽環境創造科在籍。
ヴィジュアル系について研究。 アフリカングルーヴサークル所属。 学生メディアセンターなないろチャンネル広報担当。 タブラとピアノと歌を緩やかに練習。脈絡のない趣味を抱えながら、音と言葉と出逢った人々を愛しつつ、生きています。