ハッピータブラボンゴ会社「タブラボンゴ」

第4回目は、Rhythm Circus Vol.1にASA-CHANGさんと共に出演してくださるハッピータブラボンゴ会社の皆さんにインタビューしました。
タブラボンゴという楽器の魅力や、みんなで演奏することの楽しさについて語っていただきました。
今回は、辻井雅俊さん(写真手前)、(写真右より)清水恒平さん、岡村陽一さん、小椋智子さんの4名のメンバーの方にお話を伺いました。

インタビューアー 吉田みさと (2010/03/28掲載)


【ASA-CHANGを中心に集まった、ハッピータブラボンゴ会社】

私(吉田みさと)はリズムサーカスを通じて初めてハッピータブラボンゴ会社、そしてタブラボンゴという楽器と出会ったんですけれど、ハッピータブラボンゴ会社というグループができたきっかけから教えていただけますか?

清水恒平(以下清水) きっかけはASA-CHANGですね。タブラボンゴ自体が売っている楽器じゃないから、やろうと思ってもすぐにできる楽器ではないんです。数年前に、ASA-CHANGがボンゴを改造してタブラボンゴを作り、基本のリズムを叩くまでのワークショップを開催されたんですよ。たまたま別のレッスンに参加していた際にそのワークショップを発見して、珍しくて面白そうな楽器だしやってみよう!と思ったのがきっかけですね。

小椋智子(以下小椋) 私もパーカッションレッスンに来ていて、ASA-CHANGといえばタブラボンゴ、ということで参加しようと思いました。

岡村陽一(以下岡村) 僕はASA-CHANG&巡礼(※1)のライブを見に行って、あれ(タブラボンゴ)はなんだろう?とずっと思っていて、ワークショップの存在を知って習い始めました。

辻井雅俊(以下辻井) パーカッションマガジンに掲載されていたASA-CHANGのタブラボンゴ特集がきっかけです。タブラボンゴってどんな音が出るんだろうと気になって、インターネットで検索したんですけど、当時はまだ全然音源がアップされていなかったんです。それで、実際にレッスンに参加してみよう、と決心しました。

皆さんそれぞれASA-CHANGさんをきっかけに、タブラボンゴに興味を抱かれたんですね。

清水 そうですね。タブラボンゴといえば、ASA-CHANGですからね。

【タブラボンゴってどんな楽器?】

そもそもタブラボンゴという命名をしたのがASA-CHANGさんなんですよね?

清水 名前をつけたのはASA-CHANGですが、インドネシアのダンドゥッドボンゴが元になっているんです。ダンドゥッド(※2)というのはインドネシアの大衆音楽なんですけど、それをASA-CHANGが聴いて、タブラボンゴに惚れ込んだようですよ。今、ちょうど「タブラボンゴナイト」というトークライブで全国を回って、タブラボンゴを広める活動をしていらっしゃいます。国内では仙波清彦さん(※3)も演奏されていますね。日本でプロとしてタブラボンゴを使っていらっしゃたのはその2人くらいだったんじゃないかな。

タブラボンゴの魅力って何でしょうか?

辻井 気軽にできる感じですかね。

清水 え〜、気軽じゃないだろ〜!(笑)

辻井 まあ気軽と言っていいかわからないんですけど(笑)。打楽器ってメンテナンスとか大変なイメージあるじゃないですか。そのぶんタブラボンゴは、やりはじめると扱いやすいんです。チューニングキーでチューニングできたりするところが、手軽なんですよ。

清水 確かにそういう点では楽だけど、楽器屋さんに売ってないから始めるまでがハードル高いよね。

売ってないということは、ワークショップに参加して自分のタブラボンゴを作って、そこからレッスンを始めるということですか?

清水 そうです。だから僕たちが持っているタブラボンゴはみんな一点ものですよ。既成のボンゴを少し改造して、タブラボンゴを作るんです。皮におもりをつけたり、ベロをつけてカンカン高音が出るようにします。

私はタブラの音がもともと大好きなんですが、タブラ独特の音程のようなものがタブラボンゴにもありますよね。あれは、その改造によって作られるんですか?

清水 そうですね。タブラよりも音数は少ないけれど、タブラっぽい音は出るようになります。低音はある程度練習しないと出るようにならないんですけれど、高音は簡単に出せますよ。

【みんなと奏でる、タブラボンゴ】

ハッピータブラボンゴ会社というグループで演奏することの楽しさについて教えていただけますか?

小椋 タブラボンゴって、ひとりで練習していると意外とさみしくなっちゃいます。みんなでやるからこそ、楽しいんです。

清水 そうね、一方でタブラは色々な音色もあるしひとりで陶酔できるのかもしれない。タブラボンゴとタブラの違いの一つは、タブラボンゴは底の部分が開いているので、マイクをつっこむことができることです。それによってライブでも他の楽器に負けない音が出るんですよ。ASA-CHANGもよくポップスの中で取り入れたりしてますよね。もともとタブラボンゴの起源であるダンドゥッドもそうなんです。エレキギターやボーカルが大音量で流れる中で、タブラボンゴの音が一番聞こえてくる。変わったバランスですけどね。(笑)。そういう意味では、バンドとの親和性は高い楽器なのかもしれないですね。

確かに、バンドの中で聴いていてもとても調和している音ですよね。伝統的で民族的な音色だけど、さまざまな楽器とあう気がします。

清水 でもそんなに民族楽器っていう意識はないよね。

辻井 大衆音楽の楽器、というイメージが強いです。

清水 変な楽器だよね。(笑)

小椋 インチキっぽい感じかなあ、と思います。仰々しくないんです。

辻井 そう、手軽なんですよ!

清水 手軽ではないよ!(笑)

小椋 ハッピータブラボンゴ会社というグループも、第三者から見たら、インチキっぽい感じで見えたら面白いかなあ、と思います。

【ハッピータブラボンゴ会社のリズム】

ハッピータブラボンゴ会社の皆さんにとってのリズムってどんなものでしょうか?

清水 人はそれぞれ違うリズムで生きているから楽しいですよね。すれ違うことがあるから、ピッタリ合った時にキュンとなったり、ポリリズムみたいなものが生まれたりとか。まあ、perfumeからの引用ですけど。

一同 苦笑

ハッピータブラボンゴ会社の方々はみんなで演奏されるから、やっぱりお互いのリズムを感じながら練習をしていかれるんですよね?

清水 僕たちはみんなでスタジオの中で作曲していくのではなくて、楽譜という課題に向かって練習していくので、やっぱりはじめは基本パターンであってもリズムがそろわないですよ。それがどうすればそろっていくかなあ、ということを意識して練習していますね。

楽譜ってどういうものなんですか?

辻井 ASA-CHANGさんがハッピータブラボンゴ用に開発したリズム譜です。

(実際に見せていただきました。)うわあ、すごい…!ライブの時は譜面台をたてていらっしゃらないですよね。全部こういったリズムパターンを覚えるんですか?

清水 覚えますよ。まずは曲を覚えてから、細かい部分の精度を上げていきます。

こういったリズムパターンを覚えるときって、口頭で伝えるんですか?それともからだで覚える感じでしょうか?

小椋 どちらもありますね。ただ、タブラボンゴを叩く動きって普段日常で使わない動きが多いので、からだが覚えるまでは時間がかかりますね。からだにしみ込ませないと、動かないんです。

【リズムサーカスへメッセージ】

最後に、リズムサーカスへ向けて何かメッセージがあれば、お願いします。

岡村 とりあえず、見てほしいです。(笑)

清水 対バンの人たちをびっくりさせたいですね。蒼々たる面々なので、がんばりたいと思います。どうでしょう、小椋さん。

小椋 その通りだと思います。

辻井 のっかりましたね!(笑)


みんなで奏でるからこそ楽しいタブラボンゴ。その魅力と、メンバーの方々の暖かさにわたしもハッピーになりました。リズムサーカスの日も、タブラボンゴの魅力を体中で感じたいと思いました。
ハッピータブラボンゴ会社の皆さん、ありがとうございました。


■■注釈■■

※1 ASA-CHANG&巡礼
1998年に結成された音楽ユニット。ASA-CHANGを中心とし、ギタリストでありプログラマーの浦山秀彦、タブラ奏者のU-zhaanの3人によって構成。既存のジャンルでは括りきれない独特の世界観をもった音楽を展開します。
URL http://www.junray.com/

※2 ダンドゥッド
インドネシア都市部の労働者階級に絶大な支持を受けるポピュラー音楽。マレーの大衆歌謡ムラユー音楽にインドの映画音楽やイスラムのダンス音楽、ロックなどの要素を加え、ロマ=イラマが1960年代後半に創始しました。名称はインドネシアの両面太鼓クンダンが出す音の擬声語が由来しています。

※3 仙波清彦
パーカッショニスト・ミュージシャン。邦楽囃子仙波流家元、仙波宏祐の長男として生まれ、東京芸術大学音楽学部邦楽科卒業。デビュー以後、様々なバンドを作り、日本のみならず世界でも活躍しています。
URL http://www.3-dcorp.com/SEMBA/

インタビューアー 吉田みさと(よしだ みさと)

平成元年子供の日生誕。北海道出身。東京藝術大学音楽環境創造科在籍。
ヴィジュアル系について研究。 アフリカングルーヴサークル所属。 学生メディアセンターなないろチャンネル広報担当。 タブラとピアノと歌を緩やかに練習。脈絡のない趣味を抱えながら、音と言葉と出逢った人々を愛しつつ、生きています。